雑記 (20--1)

目次


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20. 秋山仁のタイル化立体の定理その後 (2006.06.13)

先日、秋山仁先生に御会いしたときに、先生が拙稿「10. 秋山仁のタイル化立体の定理」にお触れになって、「『証明が簡単』って書かれちゃったけど、ちゃんとやるとそうでも無いよ」と叱られてしまいました(^^;。すみません。ここに訂正します。

ちゃんと証明しようとすると大変(だそう)です。

「(だそう)」と情けなくついているのは、自分でちゃんと証明しようとした訳では無いので、今回は慎重に断言をさけただけで、決して秋山先生のお言葉を疑っている訳ではありません(^^。

なお、あの結果はアメリカ数学会の論文誌に採録が決まったそうで、編集委員からは

これはgem(宝石)である。

という最高級の賛辞を贈られたそうです。確かにそれだけ見事な結果です。乾杯。

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19. 鏡は左右を逆にするか (2006.05.08)

鏡像(鏡に映ったもの)は左右が逆転する、というのは誰でも知っていることですが、なぜ上下は逆転しないのでしょう?この素朴な質問は、理系の学生にとって、かなり面白い思考問題になります。ヒントは左右の定義です。

もう少し突っ込むと、三次元空間は3本のベクトルで座標の表現ができます。その3本のベクトルは一次独立ならば何でも良いのですが、「前後」「左右」「上下」という3つがもっとも分かりやすい指標です。人の「前後」「左右」「上下」はそれぞれどう定義されるか、と考えれば、先の質問の答も分かってくると思います。

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18. 「蒼」の意味 (2006.03.20)

以前「5. 変な しこ名」の項目で「蒼樹山」というしこ名に対して

「蒼」という字は・・・「倉庫に貯蔵されている枯れた草」の青さを意味する文字

だから変だ、ということを書きました。その後、漢字源(学研)で良く調べてみたところ、基本的には、その通りなのですが、「草木があおあおとおい茂るさま」にも使うようです。例えば詩経に

蒹葭蒼蒼、白露為霜(蒹葭は蒼蒼として、白露は霜と為る)

という一節があるそうです。だから「蒼樹山」はべつに変では無いのかもしれません。無学で失礼しました。m(_ _)m

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17. 卵と鶏 (2006.03.17)

ニワトリが先かタマゴが先か」という謎があります。あまりにも有名なので説明は不要でしょう。これの答ははっきりしていて

定義による

というのが正答です。まず「タマゴ」の定義ですが、これは鶏の卵のことだというのは誰でも認める前提でしょう。もしどんな卵でも良いのなら、魚や、もっと原始的な生き物の卵が鶏よりも先に存在したことは明らかで、謎でもなんでも無くなってしまうからです。

しかし、「鶏の卵」と言ったとしても、まだ曖昧です。それには二つ妥当な定義が考えられます。

A. 鶏から生まれた卵

B. それから鶏が生まれる卵

通常はA, Bどちらも同じことなのですが、ことが起源にかかわる微妙な問題なので、どちらにするかは重要です。そう、もう、おわかりですね。Aの定義を用いれば「ニワトリが先」だし、Bの定義を用いれば「タマゴが先」ということになります。

もう少し詳しく説明するとこういうことです。歴史上最初に出現した鶏をZとします(これが存在することは、常識的には明らかですし、純粋な論理上の問題としても、そもそも「ニワトリが先かタマゴが先か」の謎の大前提です)。鶏Zはある卵(Yとします)から生まれました。その卵Yを生んだ生物Xも存在するはずです。生物Xは鶏ではありません(なぜならばもし鶏であるとすると、Zが最初の鶏であるという前提に反するからです)。進化論で考えるならば、Xは鶏に良く似た生物で、鶏の直接の祖先、ということになります。つまりこういうことです。

鶏の祖先(X) ---> 卵(Y) ---> 最初の鶏(Z)

このとき、Xは鶏では無く、Zは鶏ですから、Yが鶏の卵と認められるか否かで「ニワトリが先かタマゴが先か」の結果が変わってくるのです。Aの定義を用いれば、Yは鶏の卵ではありませんので、「ニワトリが先」ということになり、Bの定義を用いれば、Yは鶏の卵になるので、「タマゴが先」ということになるのです。

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16. トリノ五輪「お調子者部門」金メダル (2006.02.20)

スノーボードクロス女子決勝でめったに見られない事件が起りました。この競技は4人同時にスタートして、先にゴールした二人が勝ち抜き(決勝の場合はそのゴール順に金、銀、銅、4位)となるのですが、とにかく転倒が多くて「オリンピック競技というよりもバライティ番組とちゃうか」と思える程でした。決勝でも次々とコケたり接触したりして、途中からアメリカのリンゼイ・ジャコベリス選手の独走になりました。2位以下を引き離し気持ち良さそうに滑る彼女。まさにウイニングランでした。そして最後の方のジャンプでちょっと茶目っ気を出して、空中でスノーボードを掴んで、いわゆるパフォーマンスを演じたってやつです。しかし、好事魔多し!着地の時、ナント!コケてしまったのです!!!どよめく会場。慌てて起き上がって走り出すジャコベリス・・・。嗚呼しかし、後ろから来ていた2位の選手に抜き去られて、なんとなんと、銀メダルになってしまったのです。ひたいに手を当てて呆然としている男が映りましたが、多分コーチでしょう。調子に乗ってあんなことをしなければ、転ぶこともなかったでしょう。いや、コケた彼女には悪いのですが・・・笑いました。その時テレビを見ていた推定1億人(てきとう)の人間が一斉に

「お前はアホだ!」

とそれぞれの言語で突っ込んだに違いありません。彼女は後悔と恥ずかしさとで当分寝られないでしょうねえ(^^;。

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15. 西北高東南低の法則の続き (2006.01.27)

3. 西北高東南低の法則(2005.10.26)」の続きです。

苗字館というページに苗字の数の全国ランキング(10000位まで)がありましたので、それで順位を調べました。括弧内がその順位です(----は圏外を表す)。

西山(169) > 北山(600) > 東山(1099) > 南山 (3368)

西川(114) > 北川(206) > 南川(1994) > 東川(2064)

西村(42) > 北村(115) > 東村(3197) > 南村(5236)

北島(487) > 西島(806) > 東島(3238) > 南島(7537)

西岡(308) > 北岡(1022) > 東岡(5954) > 南岡(----)

西田(112) > 北田(721) > 東田(1366) > 南田(3576)

西野(319) > 北野(380) > 東野(1053) > 南野(2006)

西沢(440) > 北沢(693) > 南沢(3025) > 東沢(----)

やはり完全に「西北」と「東南」の間に差があります。しかも、この8×4通りの苗字の中で「西北」の中のもっとも順位の低い北岡(1022位)と「東南」の中でもっとも順位の高い東野(1053位)と比べても、それでも北岡の方が東野よりも順位が(わずかですが)上である、という所が驚きです。それほどにまで差が有るということです。

また、(音読みである)「○条」はこの法則に当てはまっていないと予想しましたが、それも確認できました。

北条(1351) > 東条(1725) > 西条 (2069) > 南条(3019)

他に

東郷(1805) > 西郷(2540) > 北郷(4083) > 南郷(6915)

というのもあります(やはり音読み)。

また、一文字の苗字は前回の項では議論してませんでしたが、調べてみると下記のように逆転しています。

東(118) > 南(191) > 西(229) > 北(819)

しかしこの場合「にし」「きた」の2音よりも「みなみ」「ひがし」の3音の方が言いやすい気がするので、やはり言いやすい方の数が多いという仮説に当てはまっている気がします。しかし、前回も書きましたが、「言いやすい」などという基準で苗字を選ぶのだろうか、という疑念が拭えません。

・・・

ここまで書いた後で、もっと調べてみました。西ナントカという苗字をそのリストから検索して、出てきたものについて調べました。

西尾(283) > 北尾(1649) > 東尾(409) > 南尾(----)

西本(346) > 北本(1709) > 東本(3054) > 南本(5285)

北原(424) > 西原(460) > 南原(632) > 東原(2256)

西谷(660) > 東谷(1769) > 南谷(2156) > 北谷(2246)

ここでやっと例外が見つかりました。○谷においては北谷が東谷にも南谷にも負けて最小です。しかしそれでも西谷はダントツですが。

私の調べ方がいい加減なので、ちゃんとしたことはもちろん言えませんが、西北高東南低の法則はやはり成立しているようです。

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14. 英米の三並べ (2006.01.25)

三並べのことは大抵の方が知っていると思います。地方によってはマルバツという呼び名もあります。3×3の盤面に先手と後手とが交互に記号(先手は○、後手は×)を書いていき、最初に縦か横か斜に3つ自分の記号を並べた方が勝ち、というあのゲームです。このゲームは外国にもあって、アメリカではチクタクトゥ(ticktacktoe)、イギリスではノーツ・アンド・クロッシーズ(naughts and crosses)などと呼ばれてます。ルールも同じだし、記号も同様に○と×を使います(英語の"naughts and crosses"はまさしく「マルバツ」ですね)。

しかし、○と×の使い方が日本と違って、英米では先手が×で後手が○を書くようです(「それなら "crosses and naughts" じゃないか」と思いますが)。ここまで似ていながら面白いですね。どちらかがオリジナルなんでしょうか?だとしたら何故逆になったのでしょうかね。日本と英米とでは○と×に関する意識が違う気はしますが、あまり詳しくは知らないので、今はここに書く程しっかりした理由は思い付きません。

参考文献:E. R. Berlekamp, J. H. Cpmway, and R. K. Guy, Winning Ways for Your Mathematical Plays, Vol. 3, Second Edition, A K Peters, Massachusetts, 2003. (p. 731)

(この項目の続き(訂正)が「28. 英米の三並べ(続き)」にあります。)

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13. 鳩の原理に挑戦? (2006.01.04)

鳩の巣原理(pigeon hole principle)という数学用語があります。「合計n羽の鳩がn-1個の巣に入っているならば、どこかの巣には必ず2羽以上入っている」という極めて当たり前の性質です。巣と鳩を逆にすれば、「n個の巣に合計n-1羽の鳩が入っていれば、どこかに必ず空の巣がある」という言い方もできます。これは「原理」と呼ぶにはあまりにも当たり前で、多くの人は「鳩の巣原理」という言葉を知らなくても、その正しさは常識的に理解しているでしょう。

小学校のころの話ですが、これに真っ向から挑戦する(?)ような なぞなぞを出されたことがあります(もちろん当時の私は「鳩の巣原理」などという言葉は知りませんでした)。以下、その会話の再現です(詳しくはもちろん忘れましたが、以下の会話はだいたい正確で、ほとんど脚色はありません。私は昔から理屈っぽかったんです)。

友人「5匹の猿を6本の樫(カシ)の木に登らせるにはどうしら良いか?」

私「そんなの登らない樫の木があるんだろう。」

友人「いや、全部登らせないといけない。」

私「じゃあ、一匹は一本登ってから次の木に登るのだ。」

友人「同時に登らせないといけない。」

私「それならば、2本の木に片手ずつかけて、同時に登らせれば良い。」

友人「木はそれぞれ離れているので、そんなことはできない。」

私「ロープを使って・・・」

友人「道具は一切使っちゃあ駄目。」

私「切り倒すのは駄目か?」

友人「もちろん駄目。」

私「う〜〜〜ん。じゃあ無理だ。降参。」

友人「答はね、

『それは、むつかしぅござる(六つ樫、五猿)』」

殴ったろかと思いましたね(笑)。

(鳩の巣原理に関係するパズルが「エヌシとダイユーのパズル研究室」の「トランプを並べる」の項にあります。よかったら覗いてみて下さい。)

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12. 日本のサンタ (2005.12.22)

新聞、雑誌、ウェブなどの記事における統計の結論は、おかしなものが多いと思います。今日も

日本のサンタはケチ?贈り物予算は世界最低

というタイトルの記事がありましたが、その内容は、クリスマスプレゼントにかける金額を、米、英、加、スペイン、伊、豪、仏、独、ベルギー、香港、日本で比べたら日本が一番低かった、というものでした。

わずか11の国と地域だけで「世界」最低も乱暴ですが、何よりも酷いのは・・・日本以外は全部キリスト教国じゃないか!(香港は今でこそ中国ですが、最近までずっとイギリスの祖借地でした。)日本にはお正月が、お年玉があるんですよ!多くの日本人にとっては単なる異教徒の記念日に過ぎないクリスマスに大金がかけられますか!この結果でもって、ケチ呼ばわりされてはかなわん。まあ、もともと冗談半分の記事なのでしょうから、目くじらたてるのも大人気ないかもしれませんが。

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11. 自制心 (2005.12.13)

最近の事件などを見ていて思うのは、人間は自制心が無いと自滅するものだ、ということです。誰でも怒りで一瞬我を忘れそうになる、あるいは欲望に負けそうになることはあると思います。しかし、そこで先のことを考えて自制できるか否かで人生が変わってきます。大部分の人間は程度の差はあれ、おおむねそれができるのですが、問題は、往々にしてそういう自制心が無い人間が自滅するときには他人を巻き込む、ということです。彼らのとる行動は、常人の理解を超えてます(正確には、下回りすぎて理解不能です)から、事前に予測して防ぐのは困難です。ですから、そういう人間であるか否かを早めに見極めてそういう人間は一切相手にしない、そういう人間とは付合わないようにするというのが肝心です。これが最近私が思ったことです。

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10. 秋山仁のタイル化立体の定理 (2005.12.07)

11月に中国で行われた離散幾何学・組合せ論・グラフ理論の国際会議で面白い定理が発表されました。一般の方々が聞いても意味が良くわかるので、ここで紹介することにします。

正四面体というのは御存じですね。正三角形を4枚張り合わせた立体です(図1(a)参照)。この展開図を考えます。展開図と言うと通常は辺にそって切る図1(b)のようなものだけを考えますが、ここではそれ以外の部分を切っても、平面に広がってさえいれば良いことにします。例えば図1(c)のようなものも展開図と考えます(この図が展開図になっていることを疑っている方は、これを印刷して切って組み立てて確かめて下さい)。

図1 正四面体と展開図

図1(b)のような展開図はそれを使って平面を敷き詰めることができます。平面を敷き詰めるとは、重なりも隙間も無く無限平面を覆うことを言います。図1(b)の展開図の平面敷き詰めの例は図2です。

図2 正四面体の展開図による平面敷き詰めの例その一

ここまでは当たり前ですが、面白いのはここからです。その定理の主張は、

正四面体の任意の展開図は(たとえ図1(c)のようなものでも)必ず平面を敷き詰めることができる

というものです。例えば、図1(c)による平面敷き詰めは図3です。どうです、ちゃんと敷き詰められているでしょう。

図3 正四面体の展開図による平面敷き詰めの例その二

実はこの定理を提示したのは、あのヒゲの数学者、東海大学の秋山仁教授です。あの方はテレビによく出ているので、「ただのタレント」あるいは「昔は研究をしていたかもしれないが今はタレント活動しかしていない人」だと思っている方も世間にはいるようですが、それはまったくの誤解で、いまだに面白い研究を次々に発表している凄い人です。

この定理の証明は実はさほど難しくありません。数学科はもちろんのこと、理系で理論をやっている大学院生ならば自力でできて不思議はありません。実際、秋山先生も御自身で「この定理を中村先生(注:東海大学教授、中村義作先生のこと)に話したら『そんなものは自明だ』と言われちゃったよ」とおっしゃってました。(中村先生も強く否定していらっしゃらなかったので、本当にそうおっしゃったのだと私は思っています(笑)。)

(2006.06.13にこの項の続きがあります。[ココ])

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9. 「UFOを信じますか?」という質問 (2005.11.02)

「UFO(の存在)を信じますか?」「UFOは存在すると思いますか?」というアンケートの結果などが雑誌に載っていたりすることがありますが、この質問は変です。というか、意味のある質問になっていない。「UFO」とは未確認飛行物体(Unidentified Flying Object)のことだということは多くの人が知っていると思いますが、その意味を間違えている人が多いようです。未確認飛行物体とは、そのまま「未確認である飛行物体」のこと、すなわち、

空を飛んでいるように見えるが、何だかよく分からない

という物のことです。だから当然存在するに決まってます。それは飛行機だったのかも、だったのかも、風船だったのかも、だったのかもしれません。街灯車のヘッドライトの見間違えということもあるのだそうです。人間の認識能力など知れてますから、普通と違う見え方をした時に、「何だかわからない」ということになるのは当たり前です。

上記の質問の意図は「宇宙人(地球外知的生命体)の乗り物が地球に来ているということがあると思いますか?」ということでしょう。それならば質問として成立します。この質問ならば、答は常識的には「いいえ」だし、これまでの目撃例もすべて見間違いか思い込みか嘘かそういった類いであると私は思っていますが、「あったら楽しいだろうな」という期待も込めて「はい」と答える人が何パーセントか居ても不思議はありませんので、アンケートとして成立します。

だから「UFOは存在すると思いますか?」という質問に対しては

もちろんです。ただし、その中に宇宙人の乗り物が混じっていることは無いと思います。」

と答えて(あるいは「もちろんです。そしてその中に宇宙人の乗り物も混じっていると思います。」と答えて)、正しい用語の普及に勤めましょう。

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8. 妙法はどうして左書きか (2005.10.26)

五山送り火の一つに妙法があります。松ケ崎の山々に「妙」の字と「法」の字が書かれていますが、良く考えてみると少しおかしな所があります。それは妙法を正面からみたときに「妙」が左で「法」が右にあることです。妙法だからそれで良いではないか、というのは現代人の感覚で、横書きがヨーロッパの言語の様に左書きになったのは歴史的にみればごく最近(戦後)で、それ以前はずっと右書きでした。妙法が戦後できたはずはありませんので、昔の人は「妙法」ではなく、「法妙」を見ていたことになります。おかしいと思いませんか?

しかし先日、web上でその解答を見つけました(アドレスが分からなくなりましたので、すみませんがリンクは張れません)、以下はあくまでその解説に基づく情報で、自分で原資料にあたったわけでは無いので、責任はもてませんが、もっともな解説で私は納得しましたので、ここに書くことにします。

その謎を解明する前に、妙法にはもう一つ変なところがあることを述べておく必要があります。それは「妙」は行書なのに、「法」は楷書で書いてあるということです。妙法でセットのはずなので、書体が違うのは変ですよね。実は、この謎は先の左書きの謎と関係しているということです。そう、妙と法とは作られた時代が違うらしいのです。その情報によると、妙が先にあり、後で法を付けたとのことでした。たしかに妙の左側には山はもうありませんから、作るとしたら右側に作るしかありませんね。これで書体が違う謎も説明できます。

普段、見過ごしているところにも、謎は隠されているのですね。

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7. ストップ「アイドリング・ストップ」 (2005.10.26)

最近「アイドリング・ストップ」という言葉を時々目や耳にします。環境に悪影響があるので停車中のアイドリング(空吹かし)は止めましょう、こまめにエンジンを止めましょうという主張で、その主張自体はまことに正しく、ここではその主張にケチをつけようというのではありません。「アイドリング・ストップ」という言葉自体への疑問です。

「環境のためにアイドリング・ストップを心掛けましょう」という様に使われますが、これは間違い無く和製英語でしょう。というのは、英語で"idling stop"と言った場合「アイドリングをストップする」という意味にはならないからです。

ジャンピング・アタック(jumping attack)という言葉があります。跳び(jump)ながらの攻撃(attack)です。プロレスの技にフライング・クロスチョップ(flying cross chop)というのがあります。飛び(fly)ながらのクロスチョップですね。動詞の現在分詞+動きを表す名詞というのは○○しながらの××という意味に普通はなるはずです。ですから

アイドリング・ストップ(idling stop)は、空吹かし(idle)しながらの停車(stop)

という意味になり、「アイドリングストップのすすめ」と言うと「空吹かしをしながら停車しましょう」という意味となり、主張したいのと全く逆の意味になってしまいます。これは何人か知り合いの英語ネイティブや和英バイリンガルにも聞いて確かめたので、間違いありません。全員が「アイドリング・ストップ」というと「空吹かししながらの停車」のことだと言いました。「ストップ・アイドリング」あるいは「ノー・アイドリング」ならば正しく通じると思います。

英語に無い表現だから駄目とは思っていませんが、英語で全く逆の意味になってしまうのは問題では無いでしょうか。いわゆるアイドリング・ストップ運動には大賛成ですが、「アイドリング・ストップ」という言葉は見直しませんか?(それにしても私よりも一万倍も英語が上手い日本人が国内に何万人といるはずなのに、こういう指摘が起きないのは何故でしょうかね?)

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6. 今出川通りと今出川 (2005.10.26)

京都市内に今出川通りという、東西に走っている通りがあります。その名前から察するにその通り沿いに川があったと思うのですが、京都市内の川は疎水などの人工的に作ったものを除いて南北に流れているので、ちょっと不思議ですね。DJの「つボイノリオ」が昔KBS京都で放送していたときに、

「今出川と堀川の交差点は、もともとは二つの川が交差して濁流が渦巻く、それはそれは危険なところでしたね。ですから夏休みの前などには、京都市内の小学校では校長先生が『あそこは危ないので絶対に近寄らないように』と訓示をしていたものです。」

というギャグを飛ばしてましたが、たしかに本当に今出川があったとしたら、堀川や鴨川との関係はどうだったのか気になります。実はこれについては、一応答を見つけました。すこし前のことですが、何かの本で(題名とか著者は忘れました)、ほぼ今出川通りにそって昔は今出川という川があったと書いてあったのを読んだ記憶があります。そのときの記憶では、賀茂川の西側を流れ下りてきて烏丸今出川あたりで東に折れて、鴨川に流れ込む感じだったと思います(間違っているかもしれません)。ですから、堀川とは交差してなかったのですね(当たり前ですが(^^))。

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5. へんな しこ名 (2005.10.26)

20年ほど前に朝汐という大関がいましたが、当時から変なしこ名だと思っていました。「汐」という字はその文字の構成を見ればわかる様に、もともと「夕方のシオ」のことを意味しているはずです。それに朝の字をつけると「朝の夕方のシオ」というなんだか訳のわからないことになります。その一代前は「朝潮」で、こちらは統一されていました(白い白馬の感はありますが)。

蒼樹山(あおぎやま)というのも良く考えると変だと思います。「蒼」という字はこれも見ればわかるように、「倉庫に貯蔵されている枯れた草」の青さを意味する文字です。山に生えている樹木の葉っぱが枯れていたらまずいと思うのですがね(^^;。

あと、栃の藤もよくわからないしこ名です。栃も藤もどちらも植物ですから、「栃の藤」では何のことか意味が全然わかりません。たとえば「栃の山」とか「藤の川」とかならその意味がビジュアルに見えるのですが。藤が栃であるとは、どういうことでしょうかねえ。(こういう所で人の名前にケチをつけるのは一般には良く無いことですが、対象が芸能人の芸名とか力士のしこ名とかならば許されると判断して書きました。芸能人などでも、本名にケチをつけるのはまずいと思います。)

(2006.03.20に、この項についての書き足し(誤解の訂正)をしました。「18. 「蒼」の意味」を御覧下さい。)

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4. 西東京市 (2005.10.26)

西東京市(にしとうきょうし)という市が東京都にあります。しかしちょっと変な名前ですね。東京がそもそも東の京なので、それの西というのは違和感があります。まあ間違っているわけでは無いので趣味の問題でしょうが。しかしそうなると、西東京市の東端の町は「東西東京町(ひがしにしとうきょうちょう)」と名付けるとオシャレなのではないでしょうかね。(この項、冗談です。)

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3. 西北高東南低の法則 (2005.10.26, 2006.01.27)

方角のついている名字はたくさんあります。例えば「西川」のように「方角+他の漢字一文字」の形が多いのですが、どれもほぼ例外なく「西」と「北」が多く「東」と「南」が少なくなっています。ざっとあげただけで以下の例が見つかります。

西山と北山はよく見かけますが、東山と南山は少ない。

西川と北川はよく見かけますが、東川と南川は少ない。

西村と北村はよく見かけますが、東村と南村は少ない。

西島と北島はよく見かけますが、東島と南島は少ない。

西岡と北岡はよく見かけますが、東岡と南岡は少ない。

西田と北田はよく見かけますが、東田と南田は少ない。

西野と北野はよく見かけますが、東野と南野は少ない。

西沢と北沢はよく見かけますが、東沢と南沢は少ない。

・・・

きちんと統計をとっているわけでは無いのですが、経験上、これは事実であると思います。しかし不思議です。理由が思い付きません。単純にイメージで言えば、東は日がのぼって西は日が沈むし、南は日当たりが良くて、北は敗北の「北」(北は背中の象形文字らしい)で、一般に、東と南の方が西と北よりイメージが良いと思うのですが。単なるゴロでしょうか。西と北が2文字で東と南が3文字なので、たしかに「にしやま」よりも「ひがしやま」の方が少し言いにくい気はします。実際、数少ない例外である

西条、北条、東条、南条

については(これら4つはあまり違わない気がします)、音読みなので文字数がどれも同じです。しかしそんな理由で名字が選ばれるのでしょうか?そうとは思えません。これだけはっきり違うのだから何か理由があると思うのですが、今までこれについての説明は見たことががありません。だれか研究した人はいないのでしょうかね。

(2006.01.27にこの項の続きがあります。[ココ])

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2. 中原永世十段のA級陥落 (2000.03.03)

2000年3月2日に行われたA級順位戦最終戦の結果、中原誠永世十段のA級からの陥落が決定した。永世名人有資格者のA級陥落は史上初(参考情報へ)。去就が注目されたが本人は引退を否定。B級1組に在籍することに。

感想:妙な面子にこだわらないのはさすが中原。名人経験者であり年上の加藤一二三が何度も(但し名人獲得後は1度)陥落しながらも、その都度復活して現在もA級で頑張っているからには、中原も是非復活して欲しい。新戦法を引っさげて谷川を下し二度も名人位に復帰した、あの不死鳥の様な底力をまた見せて欲しい。永世名人有資格者はA級陥落即引退という雰囲気をここで打破しておくのは今後のためにとても重要である。大山は化け物なので比較は酷。(2002年4月追記: 中原永世十段は2002年度の順位戦を最後にフリークラスに転出しました。これで彼の名人復帰の可能性は完全に消滅しました。お疲れさまでした。)

参考情報:13世名人 関根金次郎までは襲名制。順位戦が導入され実力制に移行してからの永世名人有資格者は以下の4人。

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1. 雑音を除去するヘッドフォン (1998年)

先日ソニーのノイズキャンセリングヘッドフォンMDR-NC20というのを買いました。説明書によると、

「外部の環境ノイズ(乗り物内の騒音や室内の空調音など)と逆位相の音を出し、環境ノイズを低減させ、小さい音量でもより明瞭に音楽を聞くことができる」(太字は引用者による)

とあります。数年前に基礎研究でどこかがやっていたのをテレビ番組で見たことがありますが、まさかこんなに早く実用化されるとは思いませんでした。半信半疑で買いました。買い値は税抜きで10800円。(ヘッドフォンとしてはかなり高価)

さっそく使ってみましたが「凄い」の一言。信じられないほど雑音が消えます。電車の中なぞは一旦使うともう手放せません。ほとんどの飲食店では何故か四六時中音楽(しかも大抵は愚にもつかないもの)をかけていますので、最近はディスクマンとこのヘッドフォンを携帯(密閉式で少し大きいのですが折り畳みが出来るので携帯可能)して、好きな音楽を常に聞いていることにしています。(今はカラヤン指揮の魔笛のカーリン・オットによる夜の女王のアリアにはまってます。)

-> と書きましたが、最近音揺れが少し気になり始めてきました。する時もしない時もあり、電池の加減かも知れないし良く分りませんが、とにかくそのへん私は責任持てませんので買う人は注意。

-> 98.8.6追記: 音揺れですが、その後ほとんどしない様です。する場合もありますが、する時は必ず電車の中で、しかも聞いているCDがモーツァルトのレクイエム(マリナー指揮)の場合に限定されます。多分、電車の小刻みに変動する雑音とレクイエムの伸びのある安定した音との相互作用だと思うのですが、波に関しては素人なので良くわかりません。


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